順序数の共終

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この記事はhydrogen Advent Calender 2024の14日目の記事です。

基数

順序数αが基数defα=α\text{順序数}\alpha\text{が基数}\defeqn|\alpha|=\alpha

濃度が自分自身と等しい順序数を基数と呼ぶ。基数は濃度を表す数である。

例えば、ω\omegaは基数である。また、自然数は全て基数である。

非有界

以下、α,β\alpha,\betaを順序数とする。

Xαが非有界defβX,γα,β<γX\subseteq\alpha\text{が非有界}\defeqn\forall\beta\in X,\exists\gamma\in\alpha,\beta<\gamma

まあ、言うまでもないことである。上には上がいるという性質をそのまま表しているだけである。

共終

関数ffの共終を次のように定義する。

f:βαが共終deff(β)が非有界f:\beta\to\alpha\text{が共終}\defeqn f(\beta)\text{が非有界}

この共終という概念を用いて共終数というものを定義できる。

cf(α):=min{βf:βαは共終}\cf(\alpha):=\min\{\beta|\exists f:\beta\to\alpha\text{は共終}\}

このcf(α)\cf(\alpha)α\alphaの共終数と呼ばれるものである。

そして、cf(α)=α\cf(\alpha)=\alphaなる順序数α\alphaを正則順序数と呼ぶ。

  1. cf(ω)=ω\cf(\omega)=\omega

共終なf:nωf:n\to\omegaが存在すると仮定する。

nnは有限であるから、f(n)f(n)は有限であり、m=maxf(n)m=\max f(n)なるmmが存在する。

ここで、m+1ωm+1\in\omegaであるから、矛盾。

  1. cf(ω+ω)=ω\cf(\omega+\omega)=\omega
f:ωω+ω;nω+n\begin{aligned} f:&\omega\to\omega+\omega; n\mapsto\omega+n \end{aligned}

とすると、f(ω)f(\omega)は非有界である。

ω\omegaの時と同様にcf(ω+ω)<ω\cf(\omega+\omega)<\omegaと仮定すると矛盾するので、cf(ω+ω)=ω\cf(\omega+\omega)=\omegaである。

  1. cf(ωω)=ω\cf(\omega\cdot\omega)=\omega
  2. cf(ωω)=ω\cf(\omega^\omega)=\omega
  3. cf(ω1)=ω1\cf(\omega_1)=\omega_1

正則性

ここまでの例で何となく察してもらえたかもしれないが、正則順序数というのはα\alpha個未満の列から得ることのできない順序数である。

注意すべきは基数であれば正則順序数であるとは限らないということである。

例えば、cf(ωω)=ω\cf(\omega_\omega)=\omegaであるがωω\omega_\omegaは基数である。

これを用いて、濃度についての議論を進めていきたい。